マーサのブログ

絵を描いたり布作品を作っています

本の装丁に惹かれて買ってしまうことがある。レコードのジャケットを見て買うのを「ジャケ買い」と言うらしいが、本にもそれがあてはまる。そういうことがあるなあ、と思って読んだ「装丁問答」には、素敵な本がたくさん紹介されていた。著者は黒田征太郎と共にK2を立ち上げた長友氏だった。彼は、裏表紙の写真から、楽しい伯父さんみたいな感じだが、本からもそんな人が浮かび上がって、大阪弁の愉快な人を、あらたに一人知ったなあ、と嬉しかった。私は、黒田征太郎が大好きで、その絵に強く惹かれ、彼のクレパスの船みたいな絵をいつか描けたら・・というのが夢なのですよ。長友氏の作品は、この本から少し知って、太い筆の面白い線が、あたたかくて好きだった。本の最後の方に、作家の伊集院静が長友氏のことを語っている。『三年坂』の本の装丁を長友氏に依頼したことから〜『草の上だろうか、ひとりの男が両手を枕がわりに寝そべっている絵が描いてあった。木炭だろうか、墨によるものだろうか、大胆な線で一気に描いてあった。その表情は見えなかった。なのに私は男が青空に流れる雲を眺めている気がした。次の瞬間、男が雲の行方を想っているように思えた。ーこれだ・・・。私は思った。この時、私の作家としての顔のようなものがかたちづくられた気がした。”本は運命を持っている”私はこの言葉を信じている。』この墨の絵は、ほんとにその言葉通りで、何度も何度も見てしまった。レコードからCDになって、レコードジャケットのデザインは減っていったし、本も電子出版になってしまえば、そういうことになる。でも、紙の手触りとか、開く喜びとかが根付いており、レコードと同様にはならないと願っている。素敵な装丁、ワクワクするなあ。
ディズニーシーで描いた絵を、ペインターで新たに描いたのでアップします。