今日は、慌てて上野駅近くの同潤会アパートに行ってきた。今月中に取り壊される予定で、工事の柵や足場、青いビニールに囲われていた。でも、そのアパートの感じはまだつかめて、今日滑り込んで行って良かったと思う。壁は茶色に近い黄土色で、ちょっと変わった色だ。窓枠の鉄格子が、欧風であり、がっしりした新しい文化を持って来た感じがする。1923年の関東大震災以後に建てられたということは、周りの風景とはかなり異質の石造りではなか
ったか?木造の弱い感じの棟割り長屋の横に、こういう建物があれば、皆は外国の風を感じたことだろう。アパートの正面に銀杏やケヤキの大きな木があって、そこが井戸端の変わりなのかも。私は10年前に東京に来て、表参道の同潤会アパート前を歩いた時の感動を今も覚えている。あの緩やかな坂道と、アパートのたたずまいが静けさを生む気がした。そのことから考えると、この上野の土地は平地であり、銭湯や民家の中にポツンと在る感じであり、周りとの一体感は無かった。鉄とコンクリートとの空間は、その壁の色、鉄格子のデザインと樹々の色、そして空の色が空間を創っているのだと思った。写真をアップします。