マーサのブログ

絵を描いたり布作品を作っています

健康診断の後、胃腸が重くてしかたがない。体のまん中にドン!と器官をぶら下げて、毎日生活しているけど、文字通り体の一部となって、違和感無く、存在すら忘れている。それが普通の暮らし。でも、体調が悪いと、その部分が大きく自分にのしかかり、「ここにあるよ!痛いよ。重いよ!」と物を言う存在になる。おとなしくて、こき使っても、長年何も言わず、自分の役割を黙々とこなす召使いである。それを忘れて長年暮らしているのが、人間と言うものだ。この検査が終わってから、そんなことを考えていた。というのも、「ハーモニー」という本を読んでいたからかもしれない。これはスゴイ本です。SF小説だけど、皮肉っているというか、国が人々の体を支配する、調和のとれた?世界を舞台としている。誰もが健康で天寿を全うできる社会。それはホントに良いのだろうか?ユートピアなんだろうか?真綿で首を締めつけられるという社会だと、どこかで誰かが書いていたけど、その言葉通りだと思う。戦前の日本では、「甲種」であれば出征し、戦地へと送られた。私は先日健康診断を受け、そこでは唯々諾々と検査を受けてきた。その結果が標準値であれば、その人はある意味「甲種」であるということだ。自分の健康を操作される社会という設定に、すごいことを考えて書かれたもんだとビックリする。そしてこの作者の伊藤計劃氏は、2009年3月に肺がんで亡くなるまで病室のベッドでこの作品を書いていたと知って、何とも言えない気持ちになった。享年34歳。ほんとに悲しい。本については、下記をご参照下さい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E8%A8%88%E5%8A%83
先日描いた「踏切」の絵をアップします。