待っていた村上春樹の新作「色彩を持たない多崎つくると、巡礼の年」を一気に読んだ。読み終えて、何を見ても本の世界に結びつけている自分がいた。本の世界が立ち上がって、引き込まれて行く。これぞ、村上春樹の力だ。私はしばらくその空気の中にいるのが楽しくて、自分の中のあれこれをそこに結びつけている。自分の高校生活を手近に置いて、メスをいれている感じかな。見たくないものは一杯あって、そのウミを出すのが怖いけど。主人公の「つくる君」は、その時に向き合って行く。
色彩というキーワードで話が進んで行き、赤、青、黒、白、灰、緑が登場する。他に「沙羅」という人が出てくるが、「沙羅」というのは「沙羅双樹」とか「夏椿」の沙羅に通じて、白い意味かな?とも思えた。後で考えたのは、古代エジプトの色のこと。古代エジプトでは、絵や装飾に「緑、黄、赤、黒、青、白」の6色を基本に用いる。緑は芽吹きにちなんで「永遠の命」「再生・復活」、黄色は「金の輝き」「永遠性」を象徴する。赤は「血」「火」「太陽」「砂漠」を表すし、黒は「冥界」「暗黒」「肥沃な土地」の意味を持つ。青は「水」「空」「天国」など、白は「聖なる色」「日中輝く太陽の色」を表現するらしい。(大英博物館 古代エジプト展の解説より)。他に思い出したのは、「陰陽五行説」に由来しての色のこと。四季の「青春」「朱夏」「白秋」「玄武」が使われるし、これらは相撲の土俵にある房の色だ。
こうしてみると、色のことから話が次々展開するというのは、自然な流れなんだ。

とにかく、読んで良かった。読んで一週間たつけど、まだまだその世界に引き込まれる私です。
最近散歩して写した写真を貼付します。石神井池まわりの植物などなど。